GWの後半、女川から名古屋に戻る途中で、常磐線の原ノ町駅から竜田駅まで代行バスに乗りました。

 

この区間、福島第一原子力発電所事故での帰還困難区域を通るため、鉄路の復旧は未定、代行バスすら走らずに分断されていた区間です。
しかし、今年1月からこの区域内を走る国道6号線のみが一般車の通行が可能になったのを受けて代行バスが走るようになりました。

そこで、今回初めて乗車してきました。

今まで何箇所かの代行バスに乗ってきましたが、この区間が他とは違う点が何点かありました。

添乗員が同乗します
他の区間ではワンマン運行ですが、ここでは添乗員さんが同乗しました。
 
トイレ付きのバス
通常はトイレなしタイプですが、この区間はトイレ付きタイプ。
途中での停車や車外に出ることが一切できない為ですが、発車前に「車内トイレはあくまでも緊急用なので、発車前に駅のトイレを利用するようにとのアナウンスがありました。

車内線量を測定しながらの運行
これも当然他の区間を走る代行バスでは見られません。

発車前に帰還困難区域を通行する旨のアナウンス。
JR東日本のHPでも案内が出ていますが、この区間を1回通行するに当たって受ける被ばく線量は1.2μSv/h。
全く問題のない数値だと僕は思っていますが、念のためのアナウンスなんでしょうね。

JR東日本のHPにも案内が出ていました。 

 

 

車内でのアンケートの実施。
バスが発車してしばらくすると乗務員がアンケートを配りました。
 
  

 

 

さて、原ノ町駅を出発してすぐにバスは避難指示解除準備区域に入ります。
海岸線まで見渡せる場所では被災家財の撤去も完了していて見渡す限り草原が広がっていました。

 


これが原発に近づくにつれて風景が変わってきます。
津波の被害を受けながら放置されたままの建物が目立ってきました。

 


更に国道が内陸部へ向かうと、建物自体の被害は見受けられないけど、人の気配が全くない状態に。

 

帰還困難地域に入ると国道から脇に入る道路はバリケードで封鎖され、大きな交差点ではマスクをした警官や警備員の姿が。

 

 



パトカーの往来も多くなってきました。


道沿いにはあちこちにここが帰還困難区域であることを示す看板も。


 

あちこちに中間貯蔵施設が。
貯蔵施設といっても、フレコンが野積みになっているだけのようにしか見えません。

 

 

やがて送電線の向こうに白い鉄塔が見えてきました。
福島第一原子力発電所です。
ここは国道が原発の一番近くを通る地点で、その距離2.5キロ。
ここまではっきりと見えるとは思っていませんでした。



車中は結構がやがやとしていたのですが、原発を越えた辺りで車内に突然、
「ピッ、ピッ、ピッ…」という線量計の音が。
何とも言えない緊張感が走り、車内が静まり返りました。

バスは1時間程で竜田駅に到着。

バスを降りるときに乗務員席に設置されていた線量計を見ると0.10μSv/hでした。

 

人っ子一人いない街、あちこちに設置された広大な中間貯蔵施設を実際に見てきて、復興にはまだまだ厳しい道のりが待っているんだと実感しました。