2011GW 6日目その3 日常にある死 [ボランティア]
2011年5月5日(木)
午後のワークに出かける前に教会で昼食。
食事の前のお祈り
僕は無神論者だけど、いつも感謝の気持ちを忘れないことは素敵なことだと思います。
午後のワークは渡波という地区の水産加工場です。
現場に向かう途中で津波被害を受けて操業を停止している巨大な製紙工場の前を通りました。
大きな煙突にロープが張られて、こいのぼりが泳いでいました。
街の人に「共に頑張ろう!」と言っているようで、胸が熱くなりました。
絶対負けない石巻!!
でも、現実は…
2か月経ってもまだこんな状態。
旧北上川河口に架かる日和大橋から見た湊地区。
県道には水産加工会社の巨大な看板が横たわっていました。
今回ワークするのは富士國物産という海産物(主に海藻)の卸販売、加工販売、小売り販売を行っている水産加工会社の倉庫です。
海から数百mとうい距離だったため、津波をもろに受けて大きな被害が出てしまいました。
社長さんが色々な話を聞かせてくれました。
三陸の海産物のすばらしさを熱く語って、津波の被害を免れた商品をひっぱり出してきては食べさせてくれました。
そして話は震災の事に。
出荷間際の商品も機械も冷蔵庫も水没してしまって一瞬で億単位の負債を背負ってしまった。
津波を免れたり水没したけど、真空パックの商品で汚れを落とせば大丈夫なものの出荷を再開したけど、漁が行われていないので在庫分を出荷してしまったらおしまい。
漁が再開されても加工機械が水没してしまったので加工ができない。
海から近い地域が居住禁止になったら廃業するしかない。
先行きが全く見えない中でも、出来ることをひとつひとつやっていくしかない。
奥さんからも話を聞けました。
車で避難しようとしていたら、あっという間に波が押し寄せてきた。
車から脱出した後は塀づたいに逃げて2階の窓が開いていたお宅に逃げ込んだこと。
水が引いた後はいたるところに遺体があった。
電柱に引っかかってぶら下がってる遺体もあった。
僕たちと一緒に作業をした10代の従業員も「作業中に遺体が見つかったけど、足元にいたのに最初は気が付かなかった。」
奥さんの「普通は殺人事件で1人が殺されても大騒ぎ。ここでは2万人が亡くなったり行方不明。すごいことがここでは起こっているんだよ」という言葉が印象的でした。
今日の作業は男性陣はぐちゃぐちゃになった倉庫の整理。
女性陣は水に漬かったけどまだ大丈夫な商品の洗浄、ラベル貼り。
作業を始める前に社長から注意が。
周りの建物の配置の関係で、ここは津波の時に周りの物が吸い寄せられるように集まってきたそうです。
車も3台。
人も流されてきている可能性が高いから気をつけるように…とのこと。
作業中に瓦礫の下から出ている長靴が見つかった時は、現場の空気が凍りつきました
幸い靴だけだったけど。
死というものがすぐ近くにある。
まともに考えたら気がおかしくなるような環境で、先行きが全く見えない中で頑張ってる被災者の方々。
微力であってもお手伝いしたほんの数時間分でも楽をしていただけたら…そんな想いで作業を開始。
数時間後…
入口周りがだいぶすっきりしました。
この日の作業はこれにて終了。
社長さんにお土産をいっぱい貰っちゃいました
教会に戻る車中から。
南浜地区です。
教会に戻ると、裏の高校のプールサイドが消毒用の石灰がまかれて真っ白になっていました。
GW6日目のフォトアルバムはこちら
【2015/5/22追記】
この日ワークさせていただいた富士國物産のホームページです。
富士國物産さんは2011年8月に営業を再開されました。
こちらのショップから美味しい三陸の海産物を購入することができます。
僕もお土産にいただいた品々を名古屋に戻ってから食べましたが、本当においしかったです。
会社概要のページでは被災当時の写真も見ることができます。
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